チェルシーのゴールを守るスペイン人GK、Robert Sánchez。
ブライトンから移籍して以来、正守護神として多くの試合に出場しているが、その評価は賛否両論だ。
この記事ではサンチェスのプレースタイルや強み、そして課題について分析する。
サンチェスのプレースタイル

サンチェスは長身を活かしたハイボール処理とセービング能力が特徴のゴールキーパーだ。
①シュートストップ
197cmという身長を活かし、クロスやコーナーキックに非常に強い。
至近距離からのシュートへの反応も速く、
反射神経の良さが光る場面が多い。
ビッグセーブでチームを救う試合も少なくなく、先日のニューカッスル戦でも、味方にリフレクションし、軌道の変わったシュートを難なく弾き出している。
トップレベルの選手が集まるプレミアリーグでは、精度の高いシュートが多く見られるが、難しいシュートであればあるほど、止めてしまうのがサンチェス最大の強みである。
もしかすると、追い込まれると強いタイプなのかもしれない。
シュートストップに関しては常に冷静で、弾き出す場所、ミドルに対しての反応スピードもかなり余裕のある動きであり、セービング能力に関してはプレミアトップクラスと言ってもいいだろう。
③足元の技術
近年のサッカーではGKにもビルドアップ能力が求められる。
注目したいのが、クラブW杯決勝、PSG戦で見せた、ロングキックの正確性である。
普段私達は、試合を斜め上の角度で見ているため、気づき辛いかもしれないが、フラットな目線で、ゴールの位置から、相手の最終ラインの空いてるゾーンを探しながら、正確に蹴る事をは容易ではない。それもプレッシャーをかけられては尚のこと。
これをサンチェスは何度もこなし、この試合何度も何度もパリを苦しめ、結果的に3-0というスコアに大きく貢献した。
もちろんこの戦術を組んだ、マレスカの良さが光るところではあるが、それでもあの時サンチェス以外に誰がそのタスクをこなせたのかというと、いなかっただろう。
それ以降、チェルシーのビルドアップには、ハイプレスを掛けてくるチームに対しては、裏を取るサンチェスのロングキックで攻めるという軸が出来上がった。
最早、サンチェスのキックは、チェルシーに欠かせない物となっている。
サンチェスの欠点

一方で、サンチェスにはいくつかの課題も指摘されている。
①ショートパスの技術不足
これは単にパスが下手、という話ではない。むしろ受け手からすれば、球速と球種は評価できるレベルだろう。
しかし、彼の致命的なところが
パスターゲットの選び方なのだ。
この瞬間に限って、サンチェスはかなり視野が狭まると言っていいだろう。
一見フリーに見える選手も、マークがついている。それを考慮しながら、パスを繋ぐからビルドアップは難しいのであり、逆にプレスをかける側からすれば、ベタ付きすれば背後を取られるため、自分のマーク対象にパスを出させて、尚且つそれを潰せる距離感を、キーパーに読ませない事、が重要になってくる。
サンチェスは圧倒的にその判断が弱いのである。
少しずつ改善されてはいるが、それでもまだショートパスを繋げる試合をすると、1試合に最低1.2回はミスが出る。
昨年のチェルシーはプレミア全チームの中で、自分たちのミスから失点に繋がった点が1番多いチームであり、サンチェスはその6.7割ほど影響してしまっている。
もちろんその度に、その輝かしいシュートストップを見せるのだが、ビルドアップの不安定さから、チェルシーの弱点となることは明確である。
②ロングキックだけをければいいのでは?
そんな疑問を持つ人もいるだろう。
しかしパリ戦で大活躍を見せ、その後も同じ戦術を取ったチェルシーはしっかりと対策され始めている。
ではなぜパリ戦は上手くいったのかを考えてみよう。
パリはマンツーマンDFで、それもチェルシーよりもかなりハードめなディフェンスであった。それに加えて、かなりハードプレスをかけている。それも前線だけでなく、チームとして連動したプレスだ。
つまり前線がプレスをかければ、自分の持ち場を離れる選手が出てくる。そこを玉突きで後ろからカバーしてパスの出しどころを無くしている。その上でキーパーにプレッシャーをかけに行くので、キーパーはロングであろうと、ショートであろうと、パスの出しどころが見つけづらく、結果精度の低い、蹴らされただけのボールになる。
しかしその弱点は、玉突きで開いた、最終列の数のミスマッチと、その背後にある広大なスペースである。そのスペースを見つける隙も与えないのがパリのハイプレスなのだが、サンチェスはいとも簡単に決めてみせた。
ではこれに対しての対策は?というと簡単である。
最終列は、プラスに参加せず、中盤までの連動したプレスにしてしまえばいいのである。
それにより、最終列のミスマッチは無くなり、DF陣は背後のスペースに気を回せるようになる。
そしてキーパーからすれば、中盤までは出しどころがなく、ロングキックしか選択肢が無くなるが、出した先には準備万端はDF陣が待っている、という形になる。
これにより、ショートパスが苦手なサンチェスはビルドアップの手段を失うのである。
もちろん中盤に空いたスペースが出来るが、そこにボールを繋いだとしても、結果的にチェルシーがボール保持することになっても、相手からすれば致命的なシチュエーションにはなりづらいというわけではある。
よって、キーパーとして、攻撃の強み選択肢が少ないサンチェスは、その弱点を叩かれることが多くなるのである。
まとめ
スーパーセーブを見せる試合もあれば、
ミスが目立つ試合もある。
つまり彼の成長こそ、チェルシーの更なる飛躍のキーである事は間違いないだろう。
覚醒したサンチェスと、コルウィル、フォファナ、ククレジャ、リースが完全復活したDF陣から、全然のスーパースター達へ繋がるビルドアップがあれば、チェルシーは必ず生まれ変わるだろう。
チェルシーの守護神として、今後どのようなパフォーマンスを見せるのか注目したい。
